こんばんは、ふくです。
勢いで始めてしまった(笑)小説「国徴142」第2話です。
始めて読む方は前回のオープニングから読んで頂ければ幸いです。
それではスタートです!
(この物語は、私の税務署勤務時代の体験を基にしたものですが、あまりに生々しく内情を晒すとチョットヤバいので(笑)一応フィクションなのです。)
———————————————————————————————————-
国徴142(こくちょういちよんに)
第2話 ヘビースモーカー
前回のオープニングから遡ること約半年、この物語は私が新規採用で初めて税務署に来た時から始まります。
「なんて威圧的な建物だろう」
私が税務署の建物を見た第一印象はこれでした。
入庁式はどこかの華やかな講堂で行われたのですが、そこから連れてこられた税務署の建物を見て、思わずこの言葉が出ました。
だいたい税務署や警察署というのは、たいてい威圧的な建物になっています。
これはこれで意味があるのでしょうね。
基本的に税務署職員も警察官も相手から嘗められてはダメなのです。
少し相手を威圧するくらいが丁度いいのでしょう・・・
それにしても相当古い建物です。
今でこそ税務署の建て替えも進んで近代的建物が多くなりましたが、当時の税務署は本当に古い建物が多かったです。
床が板張りで、歩くとギシギシ音がするといった具合でした。
・・・とりあえず建物内に入り、直属の上司となる中谷係長の前に連れてこられました。
ここで中谷係長から軽く説明を受けたのですが、どんなことを言われたのかほとんど覚えていません。
やはり新規採用1日目ということで、緊張のマックスだったのでしょうね。
しかし、その中でもはっきりと覚えていることが2つあります。
一つは次の言葉
中谷係長「・・・とにかく福田は武田さんにハッツイテ仕事を覚えていくように」
(武田さんは私の隣の席にいる大先輩です。年齢は35歳くらいでしょうか。)
(このハッツイテという言葉が印象深かったので、いまでも覚えているのです)
もう一つは・・・後で思ったのですが、この中谷係長、何かの動物に似ています。
なんとなく・・・口元あたりがカバに似ているかも
(そういえばアンパンマンのキャラクターの中で「カバ夫くん」というのがいたな・・・)
この日以降、私の頭の中で直属上司のニックネームは「カバ夫くん」になりました。
(もちろん絶対に口に出しては言いませんよ。私が心の中で思っているだけです)
そんな感じで、中谷係長の説明は終わり、いよいよ自席に着いて仕事が始まります。
と言っても、最初は何をして良いか全く分かりません。
机の上にパソコンが置いてあって、書類も色々と置いてありますが、いったい何をすれば良いのでしょうか・・・
相変わらず緊張感マックスですので、視界半径50センチ以外は何も目に入りません。
「やばい・・・どうしたらいいのか」
そうだ、さっきの中谷係長の言葉を思い出します。
武田さんにハッツイテ・・・
隣の武田さんに挨拶をしなければ!
私は無我夢中で隣の武田さんに声をかけました。
「何も分かりませんが、よろしくお願いします」
武田さんも何か言われるのを待っていたようで
「そうか、まあよろしく」
と言ってくれました。
よかった・・・思ったより怖そうな人ではなかった。
この武田さんが、これから数年間私の先生となって、仕事を教えてくれるのでした。
なので私としては、武田さんにどれだけ感謝してもしきれないくらいなのですが・・・
ただ1点だけ、どうしてもつらいことがありました。
それは武田さんは、超がつくヘビースモーカーだったのです。
当時はたばこに対する意識がまだ緩くて、建物内に喫煙所すらありませんでした。
今では信じられないことかもしれませんが、仕事中自席でたばこ吸っているんですよ!!
隣の席にいる私は、モロに被害を受けていました・・・(泣)
いや、これは本当につらかったです。
今でも私は、超がつくほどたばこが大嫌いなのですが、それはこの時のトラウマがあるからだと思います。
後日談ですが、私が入庁してから1年くらいたって、ようやくこの税務署にも喫煙所ができまして、たばこはそこで吸うというルールができました。
ホッと胸をなでおろしたのを覚えています。
しかし、この武田さんですが、仕事に関してはものすごくできる人で、私はとにかくこの人の真似をすることから仕事を覚えていきました。
・・・第2話はこれくらいなのですが、今回の登場人物をまとめておきます。
私・・・福田(仮名です(笑))
武田さん・・・隣の席の大先輩。超ヘビースモーカー(泣)
中谷係長・・・直属上司(カバ夫くん(笑))