ゆったりと更新している確定申告の実況中継シリーズその3です。
そろそろ実際の申告書作成に入りたいところですが、その前にセルフメディケーション税制については説明しておきたいです。
平成29年1月1日からスタートした新しい制度で、今回の確定申告で初めてお披露目となる制度なので、それなりに注目されているのかもしれません。
通常の医療費控除とセルフメディケーション税制の比較について、出来る限り簡潔にまとめてみます。
併用不可
通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は併用不可です。
従ってどちらが得なのかを判断する必要があります。
判断する方法は、国税局のシミュレーションシステムを使えば簡単です。(後で紹介しますね)
金額が違う
通常の医療費控除 ➡ 10万円以上、200万円まで
(年収が低い方は別計算になりますが、ここでは割愛します)
セルフメディケーション税制 ➡ 12,000円以上、88,000円まで
通常の医療費控除は1年間に10万円以上の医療費を使ってない場合は申告不可でした。
セルフメディケーション税制の場合は、下限が12,000円ですので利用できる方は多くなったのではないかと思います。
逆に、子供の歯科矯正のように多額の医療費を使った年は、上限が高い通常の医療費控除の方が得ということになります。
具体的には後で説明する国税局のシミュレーションシステムを使用して、どちらかお得な方で申告すればOKです。
対象となる領収書(レシート)が違う
通常の医療費控除 ➡ お医者さんにかかった医療費、薬局の薬代、病院までの交通費など。ただし治療目的でない美容整形など、対象外となるものもあります。
セルフメディケーション税制 ➡ 薬局などで購入するOTC医薬品が対象です。
このOTC医薬品というものが何なのか分かりづらいですが、判別する方法はあります。
1、識別マーク
薬のパッケージにこのマークがあればセルフメディケーション税制対象の商品です。
ただし全てのセルフメディケーション税制対象商品にこのマークがついているわけではないようです。
2、レシート
たいていのドラッグストア等では、このようにレシートに表示してくれていますね。
ただし、昔ながらの薬局などでは、レシート対応していないところもあるようです・・・
セルフメディケーション税制は「一定の取組」が必要
「一定の取組」とは何かと言うと、国税局のサイトから引用しますと、
このような取り組みです。
セルフメディケーション税制は、領収書(レシート)だけではダメで、これらの取組を行っていることも条件になります。
ほとんどの人が1年に1回程度はこれらの検査を受けると思いますので、この条件で対象外になることはあまり考えられないのですが、検査を受けた資料は提出が必要なのでなくさないようにしなければいけません。
国税局のシミュレーションシステム
それでは、国税庁のシミュレーションシステムを紹介しますね。
こちらのサイトです。
重要なお知らせ <医療費控除が変わります>:平成29年分 確定申告特集
やり方はとても簡単です。
①から⑤までの数字を打ち込んで、計算するをクリックするだけです。
上記の例では、
①給与収入700万円
②配偶者あり
③扶養親族なし
④年間医療費50万円
⑤そのうちセルフメディケーション税制対象医薬品の購入額10万円
これで試算してみました。
この場合は、通常の医療費控除なら68,900円、セルフメディケーション税制なら18,000円ですので、通常の医療費控除の方がかなりお得ですね。
(この計算は所得税のみで、住民税は計算されていません)
このように、自分の場合で当てはめてみて、どちらか大きい方の金額で申告すればOKです。
私の個人的見解
ここからは私の個人的意見ですので、読み飛ばし推奨です。
鳴り物入りで登場したセルフメディケーション税制ですが、それほど大きな実入りはなさそうに思います。
そもそも普通の家庭だったら、1年間に市販の薬だけで費やす金額なんてたかが知れているのかもしれません・・・
子供の歯科矯正など大きな医療費がかかった場合は通常の医療費控除で確定申告必須ですが・・・
セルフメディケーション税制だけで確定申告というのはどうなのでしょうね~
確定申告やレシート集めの手間と実入りとの費用対効果を勘案してということになりますが・・・
更に大きな声では言えませんが、確定申告することによるデメリットもありますよね・・・
ふるさと納税ワンストップ特例が使えなくなることもそうですし・・・
給料以外に20万円までなら確定申告不要の制度を上手に利用されている方もいらっしゃるのでは・・・
(こんなことを書くとまた批判を受けそうです。。本当に大きな声では言えませんが、、、住民税の申告とか、、、)
以上確定申告の実況中継その3でした~
あまりにもゆったりとした更新で、そろそろ申告書の作成に入らないと怒られそうなので、次回からは実際の申告書の作成をしますね~