6月は住民税決定通知書をもらう時期ですね~
皆様はもう会社からもらったでしょうか。
最近はふるさと納税の影響もあって、住民税決定通知書について説明しているブログも多くなりました。しかし制度が複雑な為、なかなか理解しづらいですね。
今回の記事で住民税決定通知書の見方について説明します。
目標はいつも通り「どのブログよりもやさしく」です。
目次
1、住民税の名称はいろいろ
所得税 ➡ 国に治める
住民税 ➡ 都道府県と市町村に治める
住民税は都道府県・市町村によって名前が変わります。
例
大阪市 ➡ 市・府民税
名古屋市 ➡ 市・県民税
東京都 ➡ 特別区民税・都民税
などなど、住んでいる場所によって名前が変わるのでヤヤコシイです。
なので総称して住民税といいます。(以下住民税で統一します)
2、住民税決定通知書の現物
こういうやつです。
あ、これは・・・私の夫のやつです。 (笑)
さすがに年収などを公開するのは、はばかられますので、隠します(笑)
住民税が給料から天引されている方は6月にこういう紙をもらうはずです。
3、住民税決定通知書のサンプル
説明しやすいように、数字を書き込んだサンプルを作りました。
数字はキリの良い数字を入れました。
決して我が家の年収ではありませんよ (笑)
4、給与収入
一番左上の緑枠の部分です。
いわゆる年収のことです。
よく「私は年収1000万以上の人でないと結婚しません」などと言う時に使う、あの年収です。(笑)
前年(この場合は平成28年)の1月から12月までにもらった給料の合計額です。
給料からは、税金、年金、健康保険、会社の福利厚生費など様々なものが差引かれますが、それらを引く前の金額です。
ただし交通費だけは除きます。
5、給与所得
給与収入のすぐ下の欄。ピンク枠の部分です。
いわゆる手取金額と勘違いする人がいますが、手取金額ではありません。今回の記事では手取金額という概念は出てきません。
ここからが複雑になるんですよね~
(大阪市のHPから拝借しました)
こういうヤヤコシイ表がでてきます。たいていのブログや税理士事務所のサイトでは、ここの説明でもう読む気がなくなってしまいますね・・・
まあ、深く考えないで、簡単に行けばOKです。
例えば年収600万円でしたら、上の図の赤丸部分に該当します。
600万円×20%+54万円=174万円
174万円を控除できます(控除した分最終的に払う税金が安くなります)
この174万円は何かというと、スーツ代です。
自営業 売上 ー 経費 = 所得
サラリーマン 収入 ー ( ) = 所得
こんな感じです。
自営業の人は仕事で使うユニフォームなどを経費として引けますが、サラリーマンは経費が認められません。
でもスーツとか仕事で使うためのものも買ってますよね。これが経費として認められないとサラリーマンはかわいそうですね。
ということで上の計算式で求めた金額を経費として認めましょうと国が決めました。
年収600万円の人でしたら、174万円が経費として認められるということですね。
給与所得は600万円ー174万円=426万円となります。
6、総所得金額
給料しか収入がない人は、給与所得=総所得金額となります。
つまり上画像の、ピンク枠=ピンク枠 となります。
7、所得控除
赤枠の欄です。赤枠内の一番右下の金額は合計金額です。
所得控除は何かというと・・・上記のスーツ代以外の引けるものです。
できるだけ引けるものを多くする方が、最終的に払う税金が少なくなりますので、該当するものがあったらどんどん引いていきます。
種類がものすごくたくさんあって、全てを説明するとキリがなくなりますので、いくつかに絞って説明しますね。
・社会保険料控除
これが一番金額が高いと思います。
前年の1月から12月に払った社会保険料を全額控除できます。
例えば、年金とか健康保険、雇用保険などですね。
これらが前年に給与天引されていた場合は、自動的に控除に入れてくれます。
給与天引でなく自分で払った場合は、年末調整や確定申告で申告していれば、その金額が控除されます。
・配偶者控除
配偶者がいる場合は33万円控除されます。
これも年末調整や確定申告で申告していれば自動的に33万円の金額が入っているはずです。
(なお配偶者の所得次第では配偶者控除が外れたり、配偶者特別控除になったりします
そのあたりのことは別記事に書いています)(税金と年金カテゴリをご覧ください)
・基礎控除
全ての人が33万円控除されます。
これはどんな人でも自動的に33万円の金額が入っています。
・その他
医療費控除とか生命保険料控除あたりがメジャーですね。これらの控除があればその分税金が安くなります。
8、総所得
ここは簡単です。
総所得金額 ー 所得控除合計 = 総所得です。
つまり 青枠 - 赤枠(の右下合計額) = 紫枠 です
9、(市民税+県民税)税額控除前所得割額
住民税決定通知書の右側の欄のオレンジ枠の部分です。
8の総所得に住民税の税率である10%をかけた金額が、税額控除前所得割額になります。(名前がムツカシイですが、名前は覚えずにここの欄の金額と覚えればOKです)
ヤヤコシイのは市と県に分かれるからですね~
住民税は6%を市、4%を県に納めるので分けて書いてあるのですね。
数式で言うなら
総所得×6%=(市民税)税額控除前所得割額
総所得×4%=(県民税)税額控除前所得割額
となります。
スミマセン、住んでいる場所によって
市 ➡ 町または村
県 ➡ 都または道または府
と読み替えてくださいね。
10、税額控除額
黄緑枠の部分です。
ここにふるさと納税の寄付金控除が記載されます。
(ここがみなさん一番知りたいところではないでしょうか)
なお調整控除というももここに含まれています。
これがだいたい市民税で1500円、県民税で1000円程度です。
(調整控除の計算方法はものすごくムツカシイので割愛します)
したがって、税額控除額 ー 約2500円 = 寄付金控除額
となります。
上記の画像は60,000円ふるさと納税した場合です。
2,000円は自己負担ですので、ふるさと納税寄付金控除額は58,000円。
これを市民税と県民税に分けて、それぞれ34,800円と23,200円
これに市民税と県民税の調整控除それぞれ1,500円と1,000円をたして
36,300円と24,200円になります。
(ただし、ふるさと納税ワンストップ特例を使用した場合は全額住民税からの控除になりますが、ワンストップ特例を使用しないで確定申告した場合は、一部が所得税からの控除になります・・・ああヤヤコシイ・・)
11、所得割額
税額控除前所得割額 - 税額控除額 = 所得割額
つまり オレンジ枠 - 黄緑枠 = 茶色枠 です。 (市民税も県民税も)
12、均等割額
これは各市町村都道府県によって金額が違いますが、おおむね両方合計で5000円程度です。
画像では市民税均等割3000円、県民税均等割2000円となっています。
13、特別徴収税額
所得割額 + 均等割額 = 特別徴収税額
つまり 市民税(茶色+水色) + 県民税(茶色+水色) = 黄色
そしてこれが実際に納める住民税の金額です。
14、差引納付額
特に、既に納めている税金などがなければ、
特別徴収税額 = 差引納付額 となります。
黄色=黄色
15、納付額
特別徴収税額(または差引納付額)を12で割って、12分の1づつ、6月~5月までの12回で給料から天引で納めます。
黄色を12で割って、12分の1ずつ、青のように12回で天引き
なお端数は一番上に来ます。
(所得税と違いボーナスからの天引きはないんですね~)
以上です。どうでしょうか~
税額控除のあたりが難しかったかな・・・
どうしても制度がヤヤコシイので、複雑になってしまいます。
もっとやさしく書けるように、更に精進しますね~
予告ですが、住民税については近日中にもう1回記事を書く予定です。
住民税の見落としがちな問題や制度上の欠点なんかを言及する予定ですので、またそちらも見てくださいね~
2017年7月16日追記。
住民税で検索してたどり着いてくださった方には、こちらの2つの記事もおススメです。
やさしくて良く分かる住民税(市県民税)の仕組みと解説。7つのポイント
続 やさしくてよく分かる住民税(市県民税)の仕組みと解説 7つのポイント
2018年6月17日追記
2018年度版も作りました。こちらの記事になります~
2018年度版。住民税決定通知書の見方と解説。ふるさと納税の答え合わせも兼ねて。
丁寧な説明、有難うございます。
今度、私の通知書で確認してみます。
あと、ふるさと納税枠を十分に使えたか検証する方法はあるのでしょうか?
つっちい様ですね~
コメントありがとうございます。また確認してみてくださいね。
あ、その方法はですね・・・実はものすご~く複雑なのですが、いずれ記事にしたいと思っています。
でも複雑すぎていつになるやら・・・
あと、色々なサイトで金額打ち込めばだいたいは分かるので、記事の需要もあまりないんですよね~